あのひとたちのうた

2014.5.22

探しもとめて行く、形のない流動的なものがすっぽりと収まる器のような舟。
原生林のジャングルや誰も住んでいないような地の果てとか
膨れ上がった部屋という部屋が怪獣の躯みたいな集合住宅とか
どんなに寂しい場所にも民話のように
うたというものがある(あった)のかも知れない。
まだ鳴らしたことのない音楽をこの日一緒に数時間のときを共にする人たちに向けて、
あるいは川べりを歩く誰かに向けてうたは流れていく。

色んな人たちの間を別のタイムラインに乗った音楽が通り過ぎていく。
この楽しさや昂揚が目の前の人たちの箍をもっと外していってしまうといいなあと思う。

テニスコーツのライブを初めて見たときのこと。
宙を見つめてぶらぶらと空気を軽く押すようなしぐさをしながら
”頭がふたつあって困る それぞれが別の方向へ行きたがるー”と歌う、その歌詞から
さやさんは一体頭の中に何を思い浮かべているのだろうかとずっと気もそぞろだった。
あの曲から私の頭の中に浮かんだイメージはとてもとても恐ろしい姿をした寄生獣のようなもので、こんなに静かでこんなにズシンとくるものがあるとは、、とダメージを食らっていた。
一緒に行った佐武郎と後でしゃべったら「久しぶりに狂った人を見たと思った」と言っていた。

思春期につける肉体的な傷みたいなうたでショッキングなステージだった。
繊細、という感じでもないし、壊れそう、というのともちょっと違う。
透き通った高い声は本当によく響き渡ってアバンギルドの空気を震わせていた、そして人が心を壊す寸前の瞬間をみているような緊迫感があった。
鬼気迫るというかんじともちょっと違うけど…。
たくさんの人がよってたかって見ていい場面ではないような、
でもあんまりにもさやさんと隆司さんが堂々とそれを見せつけるから逃げ出せないままに見ててもいいのかなとか。
間違ったものを見たのかもしれない。あの夜は。
方舟みたい、、うーん 終末感、 あったと言えばあったような。
清らかな感じでもあった。本人の体と心と時間が合致していない感じ?うーん。。

舟で感じたことを記憶の中から引っぱり出しつつ、最初に見たライブを思い出しながら
うたをさがしてのテキストを書き進めていく。